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最近ではすっかり見かけなくなった葬式饅頭ですが、地方へ行けばまだ根強く残っているところもあります。葬式饅頭にはどのような意味があるのか、ここでは葬式饅頭についての説明と、葬式饅頭が使われるようになった由来などをご紹介いたします。

 

葬式饅頭とは

葬式饅頭とは、弔事の際に粗供養として配られる饅頭のことをいいます。葬式饅頭は、饅頭を入れた箱に「志」と書かれたのし紙をまき、お葬式当日の初七日の際に配られるのが一般的です。

地域による葬式饅頭のちがい

まんじゅうの色は白が基調とし、東北や関東では春日饅頭、関西では黄色饅頭として出されます。関東においては、春日饅頭の他にも青白饅頭というものもあります。春日饅頭は、楕円形の饅頭で、こしあんが入った小麦饅頭の表面に葉の印が型焼きされたもので、青白饅頭は、抹茶で緑色に色付けされた饅頭と白い饅頭がセットで入れられたものです。また、黄色饅頭は、饅頭の皮に米粉や小麦粉に芋を練り込んで作られたもので、こちらも白い饅頭とセットで入れられています。

もっともタイプの異なる饅頭は、北海道の葬式饅頭です。北海道の葬式饅頭は、中華まんじゅうです。葬式饅頭としての中華まんじゅうは、通夜振る舞いのひとつとして配られるようになり、現代でも根強く残っている地域があるようです。北海道では葬式への参列者が多い傾向にあり、式場も公民館などを借りて行うなど、大規模な場合があります。参列者が多いとお返しも大変になりますが、中華まんじゅうは比較的作りやすいため、中華まんじゅうが広まっていったといわれています。

 

葬式饅頭2

 

饅頭は一方でお祝い事にも出されますが、この場合は紅白の色をそろえておめでたさを表します。但し、沖縄では90歳まで存命した場合のお葬式に限って紅白の饅頭を出すようです。
葬式饅頭一つでも、地域ごとの習慣や物のとらえ方が少しずつ違うのは興味深い所です。

 

葬式饅頭の由来

葬式饅頭を粗供養として弔問客へお渡しするという行為は、故人の財産の一部を饅頭という形に変えてお裾分けするという意味があります。この考え方は、仏教的な考え方で、生きている間に手放せなかった物欲のために死後に残った財産を、少しでも世間へ帰そうという気持ちが込められています。財産を分配してこの世の罪状を軽くすることで、成仏しやすくなるという意味も含められていたようです。このような行為を「お布施する」といいます。葬式饅頭を配るという行為は、この布施という行為のひとつです。

また、物や食べ物が豊富に手に入れられる現代とは違い、昔は甘い物を食べるという行為がとても貴重なものでした。このような時代背景もあり、財産の一部を返す際の方法として甘い饅頭を配るという方法が主流となりました。あまり食べられない饅頭をもらえることは、弔問客としても嬉しいことだったでしょう。甘い物であれば饅頭である必要性はないため、地域によっては羊羹やおはぎをお返ししていたところもあります。

 

葬式饅頭3

 

饅頭は、葬式だけでなく結婚式でも配られています。人生の節目に饅頭を配るという行為は、日本独特の文化ともいえるかも知れません。豊富な食料が気軽に手に入るようになった現代では、饅頭のありがたみというものも薄れつつありますが、故人や遺族の想い、そして、参列してくださった人達との助け合いの精神はしっかりと感じていきたいものです。

 

 

 

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