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逆縁の意味

逆縁とは言葉の通り「逆」の「縁」、つまり本来後に亡くなるはずの人間が先に亡くなってしまうことを言います。逆縁には二種類あり、子が親より先に亡くなる場合と、また妻が夫よりも先に亡くなる場合に「逆縁」と言います。

 

子が親より先に亡くなる

平均的な寿命を全うできたとすれば、親が子よりも先に亡くなるのが順当でしょう。しかし、事故や病気などの不幸に見舞われ、本来親の死を見送るはずの子供の方が先に亡くなってしまうことがあります。人生100年時代と言われるいま、長く生きる場合もあれば早世することもあり、人の寿命は誰にも分かりません。

しかし、それが幼い子供であっても、成人した大人であっても、子供を亡くす親の悲しみは計りきれないほど大きなものでしょう。

 

妻が夫より先に亡くなる

本来とは逆の順番で亡くなるという意味で、夫よりも妻が先に亡くなった場合にもやはり「逆縁」と言われます。妻よりも夫が先に亡くなるのが順番であるというのが古くからの考えのようです。

 

逆縁の場合は火葬場に行かない?

逆縁の場合、親や夫は喪主であっても火葬場に行かないという風習があるのをご存知でしょうか。なぜ親が自分の子供の火葬に同行しないのか、不思議に感じる人もいるでしょう。その理由には諸説あります。

「親に先立つは不孝」ということわざもある通り、子は生きているだけで孝行だという考えがあります。そのため、親より子供が先に逝くことを「親不孝者」として、親不孝を働いた子供の火葬に親が行くのはまかりならないという説もあれば、目の前で自分の子供が火葬されるのを見るのは耐えられないだろう、むしろ見ない方が良いという配慮から生まれた風習だと言う説もあります。

もし本人の動揺が激しく、どうしても火葬場には行きたくない場合、家族の最期に立ち会わない行為をまわりに非難されないで済むように出来たしきたりだと解釈する人もいます。

しかしなぜこの風習が生まれたのか、詳しいことは分かっていません。

仏教では逆縁に関わるような教えは見当たりませんが、日本では仏教が広まる以前から儒教の教えが根付いていました。儒教では「五倫」と呼ばれる「父子・君臣・夫婦・長幼・朋友」の関係を維持する教えが基本となっているため、儒教の考えと結びついた風習やしきたりが多く見られます。この考えを元にした日本独自に風習であるというのが一般的な見方のようです。

 

気持ちの区切りをつけられなくなってしまう可能性も

小さな子供を亡くしてしまった母親などの場合は、取り乱してしまうケースも確かにあります。しかし最近ではむしろ火葬場に同行し、我が子や妻との最期の別れをするべきだという考えも増えてきています。グリーフケアとお葬式(リンク)でもご紹介している通り、グリーフケアの基本は、本人や周囲が「悲しみを受け入れること」です。悲しみを受け入れずに目を背けてしまうと、逆にいつまでも悲しみから抜け出せなくなってしまうのです。

そういった意味で、お葬式や火葬は故人の死を受入れ、皆と一つの空間で悲しみを分かち合う機会になります。最期のお別れをすることは、遺族の気持ちに区切りをつける役割を持っていると言われています。そういった行為を一時的に避けてしまうと、かえっていつまでも気持ちを引きずることになってしまう可能性もあります。

もちろん、辛くてどうしようもない状態のときに必ず火葬場に行かなくてはならないということはありません。しかし、本人が火葬場に行きたいのであれば、無理に風習に従う必要は無いということを覚えておくと良いでしょう。

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