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四華花とは

四華花(しかばな)とはお葬式で使われる装具の一つで、竹串や棒にらせん状に白紙を巻き付け、横に細かく切り目を入れたものです。紙を使うことから、紙花花とも書きます。

らせん状に巻きつけられた髪が四方に広がる様子がまるで花のように見えること、また昔はこれを四本立てないと死者が成仏できないと考えられていたことから、四華花と呼ばれるようになりました。

現在のように交通網が発達する以前の日本では、死者を墓地に埋葬する際に遺族や故人と関係のある人間たちが葬列を組んで遺体を見送る「野辺送り」という習慣がありました。

この野辺送りの際、遺族が四華花を木の台に差したものを手に持って歩いたり、棺の四隅に立てたりして使用をしていました。

最近では地方の一部を除けば、野辺送りを見ることはほとんどありません。

四華花の使い方

現在の四華花は、お通夜やお葬式で祭壇に飾られる装具として使われるのが一般的な用途となっています。大きさは60cm程で、4本が一対となって飾られます。

お葬式のあとに火葬場へ移動することを野辺送りに見立てて、遺骨や遺影と共に親族が四華花を手に持って移動することもあります。

祭壇に飾るものと比べると、遺族が持つ四華花は持ち運び用に小さく作られています。

 

四華花の由来

四華花を飾る習慣は、釈迦の入滅に由来しています。入滅とは仏教用語で全ての煩悩から解放された状態を指し、命あるものが全ての煩悩から解き放たれるためには「死」しかなく、入滅はすなわち「死」を意味しています。

釈迦が死に至った際に樹々や草花がその死を悲しみ、沙羅双樹(さらそうじゅ)が一斉に白い花を咲かせて、死んだ釈迦の上に舞い散ったという古事に由来しています。このため、白い花を咲かせた沙羅双樹は死者の成仏を象徴するものと考えられてきました。

この時に釈迦を囲んでいたのが4本の沙羅双樹だったことから、4本の沙羅双樹が死者の成仏の象徴と考えられるようになり、沙羅双樹に見立てた四華花を装具として使用するようになったと言われています。

沙羅双樹とはフタバガキ科で、高さは30mほどになると言われている常緑樹です。原産国は仏教の発祥の地であるインドで、仏教においては「無憂樹(むゆうじゅ)」「菩提樹(ぼだいじゅ)」と合わせて三大聖木の一つです。

四華花がこのように仏教に由来していることから、使われるのは仏式のお通夜やお葬式になり、その他の宗教では使用されません。

四華花を手に入れるには

四華花は葬儀業者向けに販売されているものがほとんどです。葬儀社にお葬式の施工を依頼する場合は葬儀社が手配しますので、施主や喪主が個人的に手配する必要はありません。

個人で購入したい場合は、一部オンライン販売を行っている製造会社もありますので、調べてみると良いでしょう。販売されているものの中には白紙を使ったものや、光沢のある金色や銀色の素材を使ったものなど様々です。

 

浄土真宗では使用しない

四華花は仏式のお葬式で使用する装具ですが、仏教であっても浄土真宗では使用しません。由来でご紹介した通り、四華花は釈迦を囲んだ沙羅双樹を模しており、死者の成仏を祈って飾る装具です。

浄土真宗では、死者は誰もが成仏できると考えられているため、「成仏を祈る」儀式が行わないのが基本であり、初七日、四十九日などの供養も行いません。これと同様に、成仏を祈る四華花も飾る必要がないと考えられています。

このように、釈迦の入滅の故事に由来して、故人の成仏を願って使われる四華花ですが、その意味を知ると見方も変わるのではないでしょうか。

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