お葬式の豆知識
お葬式の豆知識
地域のお葬式事情-北海道のお葬式
北海道には、本州の人が驚くような習慣がたくさんあります。お葬式の習慣やマナーについても例外ではありません。北海道の葬儀に参列することになった場合に恥ずかしい思いをしないためにも、最低限の違いは覚えておきたいものです。ここでは、北海道ならではのお葬式の特徴やマナーをご紹介いたします。
受付での風習・マナー
●香典には領収書が発行される
北海道のお葬式に参列するとまず驚くのは、受付でのやりとりです。受付では、参列者が受付の人へ香典を出します。香典の中身を開くのは式を終えてからというのが一般的ですが、北海道では香典を受け取った時点で受付の人が開封します。そして、香典がいくら入っていたかを確認し、「香典代として」と但し書きされた領収書に金額を記載。そして、参列者へ手渡します。
これを本州のお葬式で行えば驚かれるところですが、北海道ではこれが一般的なルールです。文具店などでも、香典代として使用する領収書が販売されているため、北海道では常識となっています。香典に領収書が発行される理由は、「雪国」という環境が深く関係しています。昔は、葬儀に参列したくても雪の影響で交通機関が止まってしまった場合、参列できる親族に香典を立て替えてもらうことが多々ありました。領収書のやりとりは、代わりに香典を間違いなく渡した証拠として残すようになったのがはじまりで、現在もその風習が残っているのです。
●香典返しは「即返し」
本州の多くの地域では、葬儀の帰り際に渡される返礼品の他に、後日香典返しを渡すのが一般的です。返礼品はあくまでも会葬御礼の意味が強く、お香典を頂いた方へのお返しは香典返しという形で後日渡します。
しかし、北海道の葬儀では、返礼品以外に香典返しをおくる習慣はありません。知らずに香典を多めに包んだ方は、お返しが少なくて失礼だと感じることもあるでしょう。北海道では、葬儀当日に渡す返礼品以外に香典返しを送る習慣がないからです。そのため、葬儀の返礼品が香典返しとなります。
北海道ではまた、返礼品を渡すタイミングも異なります。本州の多くの地域ではお葬式の帰り際に渡されますが、北海道では受付で香典を渡した直後に即返しされることが多いようです。
北海道ならではのマナーを知らずに参列すると、受付の時点であれやこれやと驚く場面に出くわすことになってしまいます。その土地の風習を重んじた丁寧な対応をするためにも、「香典に領収書が発行されること」「香典返しは返礼品のみであること」は、最低限把握しておきましょう。
葬儀の前に火葬を行う
北海道では、通夜や告別式の前に火葬を行う地域があります。全域で共通の習慣というわけではなく、漁師町では仕事を止められなかったからまず火葬を行っておいて後日お葬式を行っていたとか、函館大火が原因となって始まったなど、諸説あります。火葬→通夜→告別式、あるいは、通夜→火葬→告別式という流れで執り行われます。
火葬を先に済ますという風習は全国でも珍しく、東北や中部地方の一部などでも行われているようです。
また、北海道では告別式よりも通夜に重きを置いていることが多いところにも違いがあります。通夜では遠い知人や故人の会社関係者などを含めて大勢が参列し、告別式では親族や親しい付き合いがあった方だけで行われることが多いようです。本州と比べると、逆ですね。北海道の知人の葬儀で、どちらかにしか参列できない場合は、よほどの近親者でない限りは通夜に参列した方がよいでしょう。
一般人でも訃報が新聞に出る
北海道ではまた、一般人でも新聞のおくやみ欄に名前が掲載されます。北海道の新聞には一般人用の訃報掲載欄が存在し、亡くなるとそこへ名前が載ることになります。最近では、個人情報保護の関係で掲載を拒否できるようになったようですが、名前掲載の風習はいまだに根強く続いているようです。
その他にある風習やマナー
北海道ならではの葬儀マナーをいくつかご紹介しましたが、北海道はとにかく広いため、地域によってかなりの違いが出てくることは覚えておきたいところです。
北海道に限らず、全国各地には都心部では考えられないような独特の風習がある地域がありますので、知らない土地で行われる葬儀に参列される場合は、その地域に住んでいる親戚や知人もしくは葬儀を執り行う葬儀社へ事前に相談すると良いでしょう。
北海道の葬儀に参列する場合は、予め特徴やマナーを確認しておくとよいでしょう。