お葬式の豆知識
お葬式の豆知識
檀家になるべきか。
都心ではあまり馴染みがありませんが、地方では檀家に入っている家庭はたくさんあります。お墓の管理やお葬式・法要などの方法に変化が見られる昨今、檀家を継続するかどうか、そして、新たに入るかどうかに悩む人は少なくありません。ここでは、檀家に入る意味や判断基準について解説いたします。
檀家とは
檀家とは特定の寺院に属する家のことを言い、所属している寺院のことを菩提寺と言います。また、所属しているお寺へお墓の管理や法事の一切をお願いする代わりに、お布施で金銭的な支援をすることを、檀家制度と言います。檀家は先祖代々受け継がれることが多いため、自身が申し込んでいない場合でも檀家に所属している場合があります。
檀家制度の変化
檀家制度は、江戸時代で寺請制度が施行されたのをきっかけに全国各地へ広がりました。もともとはキリスト教の普及を阻止するために始まった制度であり、江戸時代では檀家に入ることを強要されていました。檀家に所属していれば、お布施だけでなく寺院の新改築費用や上納金などを治める際にも経済的支援をしなければならず、負担は大きなものでした。
信仰宗教が自由化されている現在では、昔のように檀家に入ることを強要されることはありませんが、先祖代々供養してもらったお寺に引き続き檀家として所属する家系はたくさん存在します。しかしながら、江戸時代のような濃密な関係は薄れており、主にお葬式と法事だけお世話になるケースが増えてきています。
葬儀や法要があると、それをきっかけに檀家に入ろうかどうか迷う方もいらっしゃるかと思います。檀家に入ることで、どのようなメリットやデメリットがあるのかを考えてみましょう。
檀家に入るメリット
●手厚く供養してもらえる
お寺に所属している場合、他の公営墓地などに入るよりも手厚い供養を受けることができます。また、葬儀や法事などに関して分からないことや、仏事に関する事について積極的に相談に乗ってもらえるのも利点です。
●繁忙期でも優先してもらえる
檀家と住職間は一般客よりも距離が近く、繁忙期でも便宜を図ってもらえることもあるでしょう。
檀家に所属する何よりのメリットは、お葬式や法要などを行う際に、長年お世話になったお寺に安心してお願いすることができる点です。檀家に所属していない場合は、どこへ頼むか親族で相談するところから始めなければなりません。親族のとりまとめや手配だけでも手一杯になりがちな行事ごとでは、相談できたり手厚く対応してもらえる菩提寺があるのは、大きな安心感につながります。
檀家に入るデメリット
●入檀料や志納金、解(離)檀料などを求められる
檀家に入る場合は、それぞれのお寺が定めた10万円~30万円程度の入檀料を支払わなければなりません。また、法事などにかかるお布施以外にも、毎年のお寺の維持費として数万円志納金が求められることもあります。中には、お寺の改築費用や儀式の参加費用の寄付を要求されることもあり、費用は10万円を下らないことが多くあります。
また、引っ越しなどでお墓を移さなければならなくなった場合、檀家から離れることもあるかと思います。その際には、住職から解檀料を請求されることもあります。通常はお布施のように気持ちで包むものなので、5~20万円程度が相場ではありますが、お寺によっては100万円を大きく超える程の大金を要求されることもあります。
檀家とは、そもそも金銭的な支援を行う代わりに法事などをしてもらうものでありますが、江戸時代ほどの強制力がなくなり、核家族化も相まってより一層関係が希薄化してきている昨今では、このような金銭のやりとりでトラブルに発展してしまうケースは少なくありません。
●お寺のしきたりに従う必要がある
お寺の檀家になっている場合、葬儀や法事の場面でもお寺のやり方に従わなければなりません。お寺のやり方はお寺が決めていますが、公団や市営で運営している施設よりもシステム化されていることは少なく、知らない間に方針が変更になっていることもあります。
現代に合わせた「墓檀家」という仕組み
このように、檀家としてお寺に所属するということは、様々なメリットがある反面、デメリットとなる部分も存在します。地方から都市へ移住する世帯が増える現代では、新たな檀家に入る人は減少傾向にあります。しかし、そうなると檀家からの金銭的支援が減り、存続できないお寺も増えてしまいます。
このような時代背景から、古くから伝わる檀家のしくみを現代に合わせてアレンジするお寺が増えてきています。その代表が、都市部で増えている「墓檀家」です。墓檀家は、お墓に関連する法要だけをお寺にお願いできるシステムです。墓前法要以外のところではお寺とは関係しないため、正式な檀家に入るよりも金銭的にもメリットがあります。また、お寺としても定期的な収入が入るので、お寺を存続させることができるのです。墓檀家として一度お世話になり、ゆくゆくは檀家として入檀する人もいますので、このような制度はお互いにメリットと言えるでしょう。