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臨済宗の成り立ちと教え

臨済宗は五家七宗のひとつ

臨済宗は、唐の時代、仏教の禅の教えが分かれてできた五家七宗(ごけしちしゅう)のひとつです。

インドから発祥した仏教は、達磨大師によって中国へと広まります。仏教による禅の教えは時代を超えて受け継がれ、少しずつ形を変えていきます。達磨大師から6代目にあたる六祖慧能’(ろくそえのう)禅師から多くの弟子が出現し、数代を経て「雲門(うんもん)宗」「潙仰(いぎょう)宗」「法眼宗」「曹洞宗」「臨済宗」の五宗ができました。さらに、臨済宗が楊岐(ようぎ)派と黄龍(おうりょう)派の2つに分かれたため、これらをまとめて五家七宗と言われるようになりました。

臨済宗の開祖

中国で臨済宗を開いたのは臨済義玄(りんざいぎげん)、日本へ臨済宗を広めたのは明庵栄西(みょうあんようさい)で、鎌倉時代中期に広まったとされています。

臨済宗の教え

臨済宗の教えは、人間が生まれながらに、だれもがそなえている尊厳で純粋な人間性をみずから悟ることによって、仏と寸分も違わぬ人間の尊さに気づくところにあります。この気づきは、以下の4つの教えを通して導かれるものとされています。

・不立文字…言葉や文字を超えた体験をとおして初めて本当の教えを体得できるということ。

・教外別伝…心を以て心を伝えるということ。

・直指人心…自分の心をしっかりと見つめなさいということ。

・見性成仏…自分の本性が分かれば、その仏性を悟れるということ

もちろん臨済宗は禅宗ですから、坐禅を最も重視します。臨済宗は全の教えを最も重要視し、師匠が出す「公案」という出題に対して座禅をしながら体全体で答えを見出していくという「参禅」が行われます。弟子は、師匠と一対一になって座禅を行い、師匠とコミュニケーションをとりながら理論を超えたところに答えを見出していきます。

 

念仏

南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)

臨済宗01

臨済宗のお葬式

臨済宗のお葬式の流れ

臨済宗のお葬式は、以下の流れで行われるのが一般的です。

①授戒

故人に戒名をつける儀式です。授戒によって、故人は仏の弟子となります。授戒の儀式は、以下のような流れで行われます。

1.導師入場…僧侶が入場します。導師は僧侶のことを意味しています。

2.剃髪(ていはつ)…導師が剃髪用のカミソリを持ち「「剃髪の偈」が唱えられます。

3.懺悔文(ざんげもん)…故人が生前に犯した行いを深く反省し、成仏できるよう願います。

4.三帰戒文…これを唱えることにより、仏の教えを受け、修業者に帰依することを誓います。三帰の三は、仏・法・僧を表しています。

5.三聚浄戒(さんじゅうじょうかい)、十重禁戒(じゅうじゅうきんかい)…酒水器に移した法性水を棺に注ぎ、お清めの儀式を行います。この儀式のことを、酒水灌頂(しゃすいかんじょう)といいます。

6.血脈授与…香を焚き、霊前に安置します。

臨済宗04

②引導

授戒の次に重きを置かれており、ここでは仏の弟子となった故人を仏の世界へ導く儀式です。

1.入龕諷経(にゅうがんふぎん)…故人が棺に入る際、「大悲呪」「回向文(えこうもん)」を唱えます。

2.龕前念誦(がんぜんねんじゅ)…棺を閉ざす際、入龕諷経と同様、大悲呪と回向文を唱えます。

3.起龕諷経(きがんふぎん)…出棺の際、大悲呪と回向文を唱えます。

4.山頭念誦(さんとうねんじゅ)…故人が成仏できるよう「往生咒(おうじょうしゅ)」を唱えます。この際、シンバル型をした鈸(ばつ)や太鼓などを鳴らします。

5.引導法語…導師によって、故人を浄土へ送り出す引導法語が唱えられます。

③焼香、そして出棺

授戒と引導の儀式を終えたら、焼香を行い、出棺します。焼香の間は観音経や大悲心陀羅尼、楞厳呪(りょうごんしゅ)などが唱えられ、焼香後は僧侶によって回向文が唱えられます。最後に鈸や太鼓などを鳴らして出棺となります。

焼香の方法は、以下の手順で行われます。他の宗派とは少し違う点があります。以下の点は臨済宗のお焼香マナーなので、覚えておきましょう。

 ・合掌のあと一礼します。

 ・香炉の場合は、額に押しいただかずに香炉にくべます。

 ・香炉にくべる回数は1回です。お線香の場合は1本を立てましょう。

心を一つにして故人の冥福を祈るという意味で「一礼、一回、一本」と言われますが、宗派によっては焼香を二回行う場合があります。念のため、式が始まる前に葬儀社や導師に確認しておくと安心です。

臨済宗03

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