お葬式の豆知識
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神棚封じとは
「神棚封じ」をご存知でしょうか。日本に古くからある神道では、部屋の高い位置に神棚を作って、神様を祀ってきました。
家族に不幸があった際には、この神棚を封じて穢れ(けがれ)を祓う習慣があります。
ここでは、神棚封じについてご紹介します。
神棚の役割
神棚とは、神様を祀る神聖な場所です。仏教が広まるずっと以前から、日本には八百万(やおよろず)の神を信仰する「神道」がありました。神棚は、自然界や人間界にたくさん存在する神様たちを祀る小さな神社のような存在です。
仏教の広まりによって仏壇を置くのが一般的になる以前は、どの家にも神棚があり、神様を祀っていました。
家内安全や一族の繁栄を願って祀るもので、鴨居を利用したり、天井から棚を吊るしたりして部屋の高い位置に作るのが一般的です。神棚には神社で貰ったお札やお供えを置いて、神様を祀ります。
どの神棚にも神様が宿っていると考えられており、家の中に神棚を複数置いてしまうと、神様同士が喧嘩になるというようなこともよく言われて来ました。
最近ではあまり見かけなくなりましたが、今でも商売や事業を営んでいる人の家や事務所には商売繁盛を願って神棚を祀っているのを目にします。
しかし、家族が亡くなった際には一定期間の間この神棚を封じる「神棚封じ」を行う必要があります。
神棚封じの意味
仏教では「死」は成仏への入り口であり、旅立ちと考えられています。これに対し、神道では死は穢れ(けがれ)とされています。
よく勘違いされることも多いですが、穢れとは、「気枯れ」とも書き、「汚れ」とは別の意味です。人が死や血を伴うときに気枯れる、つまり気が枯れて気力が失われている状態のことを指します。
そのため、出産や女性の月経なども穢れと考えます。血を不浄なものと考えているわけではなく、出血を伴う出産や月経も死と同様に気が枯れている状態、「穢れ」であると言うのが神道の独特な考え方です。
そしてこの「気が枯れる」状態はうつると考えられています。
例えば仏教のお葬式は寺院で行いますが、神式のお葬式は神社では行いません。これは、死という穢れを神聖な場所である神社に持ち込まないようにするためです。
家の中にある神棚は神様が宿る小さな神社のような存在ですので、もし家族に不幸があった場合は神様に穢れが及ばないよう、一定期間神棚を封じると言うのが神棚封じを行う意味です。
神棚封じのやり方
●神棚封じをする人
神道では、家族を亡くした遺族は穢れていると考えます。大事な家族を失って、気力を失っているだろうという考え方です。そのため、神棚封じは遺族ではなく第三者に行ってもらうのが良いとされています。但し、第三者と言ってもなかなかまわりに気軽に頼める人がいない場合は、家族で行っても問題はありません。枕飾りの設置などで葬儀社が自宅に来る機会がある場合は、葬儀社の人にお願いすることも可能ですので、相談してみると良いでしょう。
●神棚封じの手順
神棚封じの手順はいたって簡単です。
1)神様に報告
家族の誰が亡くなったかを神様に報告します。
2)お供え物をかたづける
お供えものは全てかたづけるようにしましょう。また、神棚封じをしている間のお供えも控えるようにしましょう。
3)神棚の扉を閉める
神棚に扉がある場合はしっかりと閉めます。
4)白い半紙を貼りつける
神棚に白い半紙を貼りつけます。
●神棚封じの期間
神棚封じの期間は50日間とされています。
神式では50日目に「五十日際」と言われる、仏教で言うところの四十九日の法要を行います。50日目に喪が明けるため、そのタイミングに合わせて白紙を剥がし、神棚封じを解きます。
明治時代に施行された、服忌令(ぶっきりょう)という喪に服す期間が50日だったため、それにならったとも言われています。
神棚封じを解くことを「清払いの儀(きよはらいの儀)」と言い、このあとは通常の生活に戻ります。
封じる際は第三者にお願いすることが望ましい旨をご紹介しましたが、解く際は家族が行っても問題ありません。
神棚封じを解いた後は、今まで通りお供えをし、礼拝を再開します。
神式の法要の詳細については「神式の法要」を参考にしてみて下さい。