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導銭の意味

六導銭は、六文銭とも言われ、三途の川の渡し賃として、棺の中に遺体と共に入れるお金のことを言います。冥界へ向かうためのお金として、「冥銭」と呼ばれることもあります。

仏教の教えでは、人は亡くなったあと三途の川を渡って向こう岸へ向かうと考えられています。

三途の川はあの世とこの世を隔てる境界線となっており、人は死後七日後にこの川を渡りますが、流れの穏やかな場所もあれば急な場所もあったりと、必ずしも簡単に渡れるものではありません。

初七日とは」でもご紹介している通り、生前に善行を積んでいれば流れの穏やかな場所を渡し舟で安全に渡ることができますが、生前の行いが悪いと流れの急な場所を泳いで渡らなければならなくなり、向こう岸に渡るだけでも大変な苦労をすることになります。

そこで遺族が法要を営んで故人が無事にあの世へとたどり着けるようにと善を送る「追善供養」を行うのが初七日の法要です。

遺族が送る善によって、故人が無事に渡し舟に乗れる場合、渡し賃が必要になります。

この渡し賃が六文と言われており、故人が渡し舟に乗って向こう岸に無事渡れるようにと願って故人に持たせるものです。
これが六道銭を棺に入れる理由です。

なぜ六枚の小銭を入れるのか

さて、このように故人にとってあの世へ向かうために使う最期のお金になる六道銭ですが、なぜ一文銭が六枚必要なのでしょうか。

六導銭の六導は、仏教で死後の魂の行き先とされる「天・人間・修羅・畜生・餓鬼・地獄」の六道に由来していると言われています。

この六道のどこへ召されても救済されるよう、地蔵尊に祈願する際に使われたのが六文の銭であったと言われています。

六導銭は戦国時代の武将であった真田家の家紋としても有名です。

家紋として使われるものは、一文銭を横に三枚、縦に二段並べたもので六連銭とも呼ばれます。

武田信玄の配下で数々の戦功をあげた真田幸隆が初めて六道銭を旗印に使い、死を厭わずに戦うという真田家の気概を示したとも言われています。

古来からある風習

六道にあやかって一文銭を六枚入れる「六導銭」の習慣は、日本に仏教が広まった平安時代頃から確立されてきたと言われています。

しかし、それ以前から棺にお金を入れる習慣は日本各地で見られました。

変わったものでは、北海道や東北の一部で、棺に10円玉を入れる風習がありました。

「貨幣損傷等取締法」により禁止されていることと、金属と遺体を一緒に火葬すると遺骨を損傷する可能性から、現在では行われていませんが、遺骨と一緒に燃やされた10円玉をお守りとして持ち歩く習慣があったようです。

 

六導銭の入れ方

「六導」という小銭があるわけではなく、六導銭には一文銭を六枚使います。これを死装束で使われる頭陀袋の中に入れます。

過去には本物の貨幣を使用していましたが、一文銭は現在では使用されていないお金であることと、埋葬方法の基本が火葬であることから、金属製の副葬品は禁止されています。そのため、最近では六導銭を紙に印刷されたものが使用されています。

 

各国で見られる渡し賃の風習

死者が無事にあの世へと向かうことが出来るようにと願って棺にお金を入れる風習は、日本のみでなく各国で見られるものです。中国では、納棺前に黄色い布袋に経文や仏像の絵、紙銭などを入れ、遺体の首にかける習慣があります。いずれも、死者があの世でお金に困らないようにという願いが込められており、死後の平安を望む遺族の思いは万国共通という事ではないでしょうか。

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