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花立ての意味

花立てとは、お供え用の生花や樒を生ける仏具のことを言います。華瓶(けびょう)とも呼ばれ、「花供養」のために使う道具です。一般には花瓶と言われるものと役割は同じなのですが、仏具としては「花立て(はなたて)」と呼びます。生花や樒を生けるときは、直接器の中に水を入れて使います。

仏教において仏前に花を供えるようになった歴史は非常に古く、開祖である釈迦牟尼が悟りを開くために修行をしていた際に、頭上に五華を散らして壮厳したことが由来とされています。また花は仏の慈悲を表す存在だとされています。厳しい自然の中でも美しく咲いて人々の心を癒す花が、厳しい修行に耐えたのちに悟りを開くことにも重ね合わせていると考えられています。

故人を供養する気持ちを表す存在でもあり、感謝を表す気持ちを込めて花を供えるのです。花立ては、その花を生ける道具として、とても重要な役割を持っているのです。

 

花立ての歴史

生花を生ける容器としての花立ては、いつごろから存在していたのか定かではありません。日本では、飛鳥時代には花を生ける文化の原型が存在したと言われていますが、それは草花の命を保つために水を入れる道具としての存在でした。

これが仏教の儀式に関して重要な役割を持つようになったのは中国が発祥で、仏教の伝来とともに日本に伝わったのは奈良時代です。仏に花を供える「供花」は、現在の華道のもとになったと言われています。

 

三具足の一つである花立て

花立ては仏事で使われる「三具足」の一つで、香炉、燭台と共にセットで使用する仏具です。具足とは物事が十分に備わっていることを表す言葉で、三具足とはその言葉の通り必要な道具が三つ揃うことを差します。

三具足は仏具の中でも特に重要であると考えられており、仏事や供養に欠かすことができません。どの宗派でも必ず使うため、一番に揃える必要がある道具になります。

それぞれに置く位置が決まっており、三つの道具を本尊の前に並べて使います。本尊に向かって左から花立、香炉、燭台を並べ、故人が亡くなった直後に飾る「枕飾り」にも使用します。その他、花立てと燭台を二対にした五具足、仏飯器・湯呑・線香差しを加えた六具足、十一具足などもあります。

 

花立ての種類

花立ては仏壇に飾るため、一般的な花瓶と比べて小ぶりなサイズになっています。

素材は真鍮製のものが多く見られますが、陶器やアルミ製、ステンレス製のもの、金メッキが施されているものなど、様々です。花立の素材は決められていないため、仏壇に雰囲気の合うものや好みのものを選ぶと良いでしょう。サイズは直径6cmから35cmまでと幅が広いため、購入する際は仏壇の中にきちんと納まるかどうかを確認すると良いでしょう。

 

真鍮製

花立ての中で一番多く見られる素材です。上に向かって間口が広くなっているデザイン一般的です。その他、図柄が施されているものもあります。

陶器製

色は落ち着いた白や紺、茶などが多く見られますが、淡いピンクや水色のものもあります。蓮の花など、絵柄が入ったものもあります。九谷焼が使われているものも見られます。

アルミ製

真鍮製ほどの重厚感はありませんが、シンプルで手入れのしやすい素材です。様々な形状があり、モダンなデザインのものも選択できます。

また、蓮の花を模した「常花(じょうか)」と呼ばれる飾りを置くための花立てもあります。常花の部分は真鍮、またはアルミ製になっており、花立てとセットになっているものもあります。

 

花立てに生ける花

花立てに生ける花で仏花にふさわしい花としては、季節の花や故人の好きだった花、手入れがしやすく長持ちする花が適しています。菊や百合、かすみ草などはよく使われる花です。

花の色は白、黄色、紫など淡い色合いのものが良いでしょう。明るい色や派手なイメージの花は仏花として相応しくありません。
バラやアザミのようなトゲのある花や、毒を持つヒガンバナやテッポウユリなども避けたほうが無難です。
最近では手入れが簡単なことから、造花やブリザードフラワーも好まれています。

その他の三具足である香炉、燭台については以下でご紹介していますので参考にして下さい。
香炉とは
燭台とは

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