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なぜ遺体を清めるのか

遺体を清めるという発想は、仏教に限ったことではなく、他の宗教でも同じように行われる行為です。

現世での仕事を終え、あの世に旅立つための旅支度であり、死装束をまとう前の身支度といえるでしょう。

仏教的に考えれば、この世の迷いや苦しみを洗い清めるという意味も含まれています。

清める方法は国や地域によって様々ですが、お湯や水を使って体を洗うなど、生前に体を清潔に保つために行われていた方法が取られることが多いようです。

こういった理由から、日本で主流なのは遺体を入浴して清める「湯灌」です。

以前は自宅で亡くなり、自宅でお葬式を行う流れのなかで、遺族が自宅の風呂を使って遺体を清めることが自然に出来ていました。

最近では、病院で亡くなる人が9割を超えると言われるようになり、病院からそのまま葬儀場の安置室へ搬送されるケースも少なくなく、葬儀社の施設で湯灌を行うことが増えているようです。

清拭は、死後に病院などで行われるエンゼルケアとして行われることが多く、場所や時間、費用など様々な理由で湯灌やエンバーミングが行えない際には、清拭のみで納棺する場合もあります。

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清拭の方法

死亡が確認されたら、最初に行われるのが遺体を清める行為です。

納棺は死後硬直が始まる前に素早く行う必要があるため、清拭は遺体に施す行為としてすぐに行います。

アルコール、またはアルコールを入れたお湯を用意し、それにガーゼを浸して遺体全体を拭いていきます。この際、傷口などがあれば処置をします。

綺麗に拭いた後は汚物が流れ出るのを防ぐため、耳、鼻、口、肛門などに脱脂綿を詰めていきます。

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介護の現場でも行われている

清拭は、遺体だけに施す行為ではなく、介護の現場でもよく行われています。

寝たきりで頻繁に入浴することが困難である場合などは、清拭を行うことで精神的にリラックスできたり、体を清潔に保つことができるもので、遺体に施す清拭とは別の意味があります。

清拭だけでは対応できないケースも

清拭は遺体を清める行為で、腐敗を止める処置ではありません。
亡くなってからお葬式を行うまでに時間が空いてしまったり、火葬場の予約がなかなか取れず待ち期間が出来てしまったりする時などは、清拭だけでは腐敗が進んでしまいます。

また事故で亡くなった場合、特に遺体の損傷が激しいときには、清拭だけでは対応ができません。そういった場合には、エンバーミングを行うことも検討する必要があります。

遺体を清める方法はいくつかありますが、故人を送り出すにあたっては遺族の思いや時間、費用など、様々な要因があります。よく話し合って、最善の方法を選ぶことをおすすめします。

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