お葬式の豆知識
お葬式の豆知識
仏式のお通夜の流れ
日本で行われるお葬式は9割が仏式と言われますが、宗派に関わらず通常はお通夜とお葬式が二日続けて行われます。ここでは、仏式で行われるお通夜の流れについてご紹介します。
お通夜の意味
「お通夜とお葬式にはどんな意味がある?」でご紹介しているとおり、近親者が故人の死を悼んで集まり、邪霊から守るために夜通しろうそくの火を絶やさないようにしていた事がお通夜の始まりです。そのため、お通夜には家族やごく親しい親族、隣人などが集まり、お葬式には知人や友人、会社関係の人間が参列するのが一般的でした。お葬式は故人の追悼の儀式であるため、誰でも参加して良いものです。
しかし最近ではお通夜も儀式として一般の参列者に開放するようになり、通夜ぶるまいの食事などをふるまう形式に変化してきています。お葬式には都合がつかなくても、仕事帰りに立ち寄れるお通夜のほうが参列しやすいという人も多く、お通夜のほうが参列者が多いというケースも増えて来ました。
現在のお通夜
このように、お通夜は本来親族やごく親しい間柄だった人間が夜通し遺体を見守り、灯りを絶やさないようにする儀式でした。
しかし現在ではお通夜を夜通し行う習慣は少なくなり、お葬式と同じように読経やお焼香を行うスタイルが一般的になっています。夕方以降に行われることが多いため、仕事をしていても参加しやすく、お葬式よりも多くの人が参列するケースも少なくありません。
お通夜がこのように変化したのは様々な理由が考えられますが、一つには現在の住宅事情で遺体を自宅に安置できず、葬儀場に安置するケースが増えたことが考えられます。葬儀場に宿泊施設が無いと、遺族の寝ずの番は叶いません。最近では宿泊施設を併設している葬儀場も増えており、遺族が葬儀場で宿泊しながら遺体の側で過ごすことが可能なケースも増えていますが、防災上の観点からロウソクに火をつけられないと言ったこともあるようです。
現在では多くのお通夜が18:00~19:00くらいから始まり、1~2時間ほどで終了します。
一般葬のお通夜では僧侶の読経、焼香といった儀式を一通り行った後、遺族が通夜ぶるまいで参列者たちをもてなします。ここでは参列者が飲食をしながら故人の想い出を語ることが供養とされていますが、これも仏陀を囲んで弟子たちが語り合ったというお通夜の原型の名残と言えるでしょう。
お通夜の流れ
宗派により若干の違いはありますが、一般的なお通夜での会葬の流れに沿って説明します。
1. 受付をすませる
会場は葬儀会館でとり行われる場合が多いので、葬儀会館の係員に誘導に従って受付をしましょう。故人との関係により受付がわかれているケースがあるので、自分がどこに該当するか確認しましょう。
自分の順番になったら、受付に簡単なお悔やみの言葉を述べてから一礼し、袱紗(ふくさ)に包んだ不祝儀袋を取り出して、表書きが相手に読めるように両手で受付係に渡しましょう。
2. 会場に入る
会場に自分の席次が決められている場合はそれに従いますが、決まっていない場合は前から順につめて着席します。祭壇から向かって右側前方が親族の席になりますので、親族以外は後方の席に着席します。
3. 読経
導師による読経が行われます。読経は仏教の経典を唱える儀式で、故人の冥福を祈るために行われます。参列者は静かに座り、数珠を手にかけて僧侶の読経を聞きます。
4. お焼香
読経の後、焼香が行われます。焼香は、故人に対する敬意と哀悼の意を表すために行います。参列者は一人ずつ前に進み、香炉に香を焚いて焼香します。焼香台の前に着たら右側の親族に一礼し、次に左側の参列者に一礼します。焼香の際には、深く一礼し、心を込めて手を合わせます。お焼香の方法には、立礼焼香、座礼焼香、回し焼香などの方法がありますが、会場の広さや、畳の会場か、椅子の会場かによって変わります。
また、宗派によってもお焼香の方法は変わります。
5. 遺族の挨拶
焼香が終わると、遺族代表や喪主が参列者に向けて挨拶を行います。挨拶では、参列者に対する感謝の言葉や故人の思い出について語られることが一般的です。挨拶はお通夜全体の雰囲気を締めくくる重要な役割を果たします。
6. 閉式
挨拶の後、閉式となります。参列者は、遺族に対して再度お悔やみの言葉を伝え、会場を後にします。
通夜ぶるまい
通夜ぶるまいは故人を供養する儀式の一つです。
通夜ぶるまいの多くは会場に仕出しのお寿司、オードブル、大皿の料理などが広げられています。お酒も出されるのが一般的です。但し、地域によっては通夜ぶるまいを行わず、弔問客が帰る際に箱詰めされたお酒や料理を渡すこともあります。お葬式の際、火葬場から戻った後に振舞われるのは「精進落とし」「精進上げ」「お斎」などと言われ、「通夜ぶるまい」とは別のものです。
仏式のお通夜でのマナーについては。「仏式のお通夜のマナー」でご紹介していますので、参考にしてください。