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なぜ神式のお葬式が少ないのか?

神式で行われるお葬式は全体の数%とも言われ、ごく少数派です。以前の日本では、神道は土着の宗教として多くの人が生活に取り入れていました。日本で行われるお葬式の多くが仏式になったのは、江戸時代につくられた檀家制度が大きく関わっています。

檀家制度とは、江戸時代の初期に江戸幕府によって宗教統制を目的に施行された制度です。同時にキリスト教の布教を禁止する禁教令も施行されたことから、一番の目的はキリスト教を禁止することにあったと言われています。檀家になると寺院にお布施を納める義務が発生する代わり、寺院は檀家に対してお葬式や法要などを執り行ってくれます。この際に、国民のお葬式は全てが仏式で執り行うことになったのです。

檀家制度がつくられる以前は神道派がたくさんいましたが、檀家制度ができたことで、神道であっても仏式のお寺に属する必要がありました。明治維新後、1871年に明治政府によって檀家制度が廃止されて以降は、徐々に神道のお葬式を行うことができるようになりましたが、それまで檀家だった人たちは自主的に離檀しない限り、そのまま檀家を継続する形になりました。檀家制度は世代をまたいで引き継いで行かれるため、神道派の人が激減してしまったものと推測されます。

 

太古から伝わる「神葬祭」

神道のお葬式は、神葬祭(しんそうさい)と呼ばれます。神道は、不特定の神様を信仰する多神教のことで、日本固有のものです。神式の葬儀は、この神道におけるお葬式のことを指します。
神道は仏教よりも歴史が長く、太古から信仰されてきたといわれています。神道は、地上に存在する森羅万象は神によってつくられ、その全てには神が宿るという考えのもとに成り立っています。
神道では死後の世界を「霊界」と呼び、人が亡くなった後も魂(霊)が存在し、祖霊(それい)として永遠に生き続けるとされています。祖霊は、家族や子孫たちとの繋がりを持ち、家や地域の守護者として尊重されます。
故人が亡くなった際には、その霊に家の守護者となってもらえるよう、お葬式という形で儀式を行います。

仏式のお葬式は故人が浄土へ無事に旅立てるよう、供養を目的に行います。これに対し、神道のお葬式では穢れを祓い清めること、故人を先祖代々の守り神の一人として見送る儀式となっています。

 

神式3

神社でお葬式を行わない

神道では死は穢れ(けがれ)とされています。よく勘違いされることも多いですが、穢れとは、「気枯れ」とも書き、「汚れ」とは別の意味です。人が死や血を伴うときに気枯れる、つまり気が枯れて気力が失われている状態のことを指します。

この穢れを神聖な場所に持ち込むことの無いよう、神式のお葬式は神社では行われません。これは、「死」は縁起が悪いとか、汚れたことであるという考えからではなく、死という「穢れ」を神聖な場所である神社に持ち込まないようにするためです。

故人の安置場所が自宅であれば自宅、または別の会場で行われます。

詳しくは「神道の死生観」でご紹介していますので、参考にして下さい。

神葬祭の流れ

通夜祭、遷霊祭については「神式のお通夜の流れ」でご紹介していますので、ここでは神葬祭の流れをご紹介します。

 

葬場祭

葬場祭は、仏式でいう告別式にあたります。神道のお葬式の中でも重要な儀式であり、故人との別れの場となります。通夜祭で行ったように、手水の儀によって手口を清め、お祓いをする「修祓(しゅばつ)の儀」、「祭詞奏上」、「玉串奉奠」などの儀式が行われます。
その後斎主による祭詞、弔電の奉呈・奉読などが行われます。葬場祭は神葬祭の中でも最も重きをおく儀式です。

 

発柩祭

発柩祭とは、仏式で言うところの出棺の儀式にあたります。葬場祭の後、故人の遺体を霊柩車に移し、出棺を柩前に奉告します。斎主が祭詞を奏上し、遺族や親族が故人を見送ります。この儀式は故人の最後の旅立ちを象徴しています。

 

火葬祭

火葬場で行われる儀式で、故人の遺体が火葬されます。斎主が祭詞を奏上し、参列者が玉串を奉って拝礼した後、遺体を火葬します。骨上げの方法は仏式と同様です。

 

神式2

 

埋葬祭

神葬祭においては、火葬後に遺骨をそのまま墓所に埋葬するのが伝統的な手順です。埋葬祭はその名の通り、お墓に遺骨を埋める儀式です。お墓の四隅に忌竹(いみたけ)を立て、注連縄で囲んで神聖な空間を作ります。灯明も立てられます。遺族は遺骨と共に銘旗や墓誌を墓に納めた後、墓標を立てます。最後に喪主が供物を供え、墓前を飾ります。
しかし現在では一度家に安置し、五十日祭で埋葬することが多いようです。五十日祭は、仏式でいう四十九日にあたります。

 

帰家祭(きかさい)

埋葬後、遺族が自宅に戻り、故人の霊を迎える儀式です。祭司が祝詞を奏上し、故人の霊を家族のもとで迎え入れます。参列者は故人を追悼し、家族の絆を固めます。

神式1

仏式では供養の一つとして通夜振るまいがありますが、神式で通夜振るまいにあたるのは「直会(なおらい)の義」です。神式には供養という概念がないため、神事に参列した人たちが神酒と神饌を食する行事の一つと考えると良いでしょう。

神式で行う法要については次の記事でご紹介しています。「神式の法要
併せて参考にしてみて下さい。

 

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