お葬式の豆知識
お葬式の豆知識
三具足とは
三具足とは、仏事に使われる道具のことです。三具足に道具を増やすと、四具足、五具足になります。
三具足は仏具の中でも基本の道具と言われており、重要な役割を持つと考えられています。ここでは三具足の由来と意味、それぞれの道具についてご紹介します。
三具足とは
「三具足」とはさんぐそく、またはみつぐそくと読み、仏事で使われる道具の一つです。花立て、香炉、燭台を三具足と呼び、三つセットで使用します。具足とは物事が十分に備わっていること、また揃って整っていることを表す言葉で、仏教においては仏具のことを差しています。三具足とはその言葉の通り、仏具が三つ揃って整うことを意味します。
故人を供養する仏壇には様々な道具がありますが、三具足は仏具の中でも特に重要であると考えられており、一番基本となる仏具のため供養に欠かすことができません。仏教ではどの宗派でも必ず使うため「仏の三大供養」と呼ばれており、一番はじめに揃える道具になります。三大供養とは花、香、灯で供養することをいい、花立ては「花供養」、香炉は「香供養」、燭台は「灯供養」に使われます。
三つの道具を本尊の前に並べて置きますが、それぞれに位置が決まっています。本尊に向かって左から花立て、香炉、燭台を並べます。三具足は故人が亡くなった直後に飾る「枕飾り」にも使用します。
三具足以外の組み合わせ
三具足は基本のセットですが、その他にも四具足、五具足、六具足、十一具足などがあります。
●四具足
四具足(しぐそく)は、花立てが二つ、燭台、香炉が一つずつの組み合わせです。本尊に向かって左から花立て、香炉、燭台、花立ての順に並べます。
●五具足
五具足(ごぐそく)は、花立てが二つ、燭台が二つ、香炉が一つの組み合わせです。この場合は、本尊に向かって左から花立て、燭台、香炉、燭台、花立ての順に並べます。
●六具足
六具足(むつぐそく)は基本の三具足である花立て、燭台、香炉の他に仏飯器・湯呑・線香差を加えた仏具です。本尊に向かって左から花立、湯呑・線香差を並べ、その手前、または下段に燭台、香炉、仏飯器を並べます。
●十一具足
十一具足(じゅういちぐそく)は六具足に花立てと燭台がひとつずつ増え、さらに前香炉、マッチ消しが加えられたものです。
三具足の由来
仏具としての花立て、香炉、燭台は仏教の伝来とともに日本に伝わりました。伝来当初は別々の道具と考えられていましたが、三具足としての考えが定着したのは、室町時代から江戸時代にかけてです。この間、三具足を仏具としてだけではなく、鑑賞具として捉える考えが生まれます。『室町殿行幸御飾記』(1437)には、三具足が床の間に掛物とともに飾られた記録が残っています。
花立てとは
三具足の中で、本尊から向かって一番左に置くのが花立てで、華瓶(けびょう)とも呼ばれます。
仏教に限らず、死者に花を手向ける習慣は古来より受け継がれて来ました。仏教において仏前に花を供えるようになった歴史は非常に古く、開祖である釈迦牟尼が悟りを開くために修行をしていた際に、頭上に五華を飾ったことが由来とされています。
また花は仏の慈悲を表す存在だとされており、厳しい自然の中でも美しく咲いて人々の心を癒す花が、厳しい修行に耐えたのちに悟りを開くことにも重ね合わせていると考えられています。故人を供養する気持ちと、感謝を表す気持ちを込めて花を供えるとき、花立てはその花を生ける道具として、とても重要な役割を持っています。
香炉とは
香炉とは、その言葉の通りお香を焚く際に使う器具のことで、三具足の中では中央に置かれる道具です。お香を焚くためには火をつけて燃やす必要がありますが、可燃性の器では香と一緒に燃えてしまいます。そのため素材は不燃性であることと耐久性が求められ、陶器や磁器、鉄製や銅製などの金属や石材が使われています。
香炉にはいくつか種類がありますが、一般的によく使われているのは「前香炉」と「土香炉」です。その他、透かし香炉や玉香炉、角香炉など様々なタイプの香炉があり、宗派によって使う香炉も変わります。
但しいずれのタイプも三本の足があり、一本足を全面に、二本足を後方にして置くのが正式です。
燭台とは
燭台(しょくだい)はロウソクを立てる台のことで、ロウソク立てとも呼ばれます。三具足の中では本尊から向かって一番右に置きます。素材は宗派によって様々ですが、真鍮製のものが多く使われています。その他には陶器製のものや、漆を摺り込んだ宣徳製などもあります。シンプルなものもあれば、装飾や模様を施した美しい外観のものもあります。
ロウソクが灯す灯りは様々な宗教の中で神聖なものとして扱われていますが、仏教でも例外ではありません。ロウソクは暗闇を照らしてくれますが、仏の教えがこの灯りのように人々を照らし、救いを与えてくれることの象徴と考えられています。また火は邪悪なものを払うと考えられているため、浄化や魔除けの意味も込められています。
それだけでなく、故人が浄土へと向かう際、暗闇でも迷わぬように道筋を照らす役目を果たすとも言われています。こういった理由から、燭台は仏教においては三具足の一つとして、重要な役割を担っているのです。
仏壇に合った具足の選び方
三具足は基本の仏具ではありますが、五具足にするか、六具足や十一具足にするかについては仏壇のサイズにもよります。素材やデザインも豊富にありますので、仏壇にあったサイズやデザインのものを選択すると良いでしょう。